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今回のテーマは「中小企業の成長に立ちはだかる壁」です。
成長を続けていく過程には、必ずいくつかの壁があります。一般的には従業員数で10人の壁、30人の壁と言われることが多く、会社の規模が大きくなるにつれて経営者も変化していかなければなりません。
中小企業の成長の壁とは具体的にどのようなものなのか、そしてそれを乗り越えるにはどうしたらいいのかをご紹介します。
まず中小企業の成長過程は、「幼年期」「青年期」「成熟期」という3つのステージがあります。経営者のパワーや会社のスタイルなどによって規模感は異なりますが、おおむね次のように分けられます。
・幼年期:粗利5,000~6,000万円、従業員6,7人程度
⇒社長=事業の状態で、社長の目が届く規模。社長が頑張れば会社が成り立つ。
・青年期:粗利3~5億円、従業員30~50人程度
⇒「組織」になってきた状態。社長が自分の使うマネジメントに切り替えるタイミング。
・成熟期
⇒社長が現場に出なくても事業拡大ができる状態。
このステージが切り替わるタイミングで、それまでと同じやり方では会社の成長が止まったり鈍化したりしてしまうことがあります。これこそが「中小企業の成長の壁」なのです。
それでは幼年期と青年期では、具体的に何が異なるのでしょうか。その決定的な違いは「社長が自分の時間や労力、資金などを何に投資するのか」です。
幼年期は、社長が現場で頑張れば十分な売上を上げられます。そのため、社長自身の知識や経験を積み重ねるための投資がメインになるでしょう。さまざまな事情で退職する可能性もある社員へ投資するよりも、リターンが大きいからです。
しかし青年期になっても社長への投資をメインにしていると、社長のスキルや経験値が上がっていくだけで、社員は一向に成長しません。社長ひとりに依存した経営になることで、社員が指示待ちになってしまうのです。
組織を強固にするためにも、青年期には経営者の時間と労力を「仕組みづくり」へと投資する必要があります。仕組みとは、個人のスキルに左右されずに円滑に業務を進めるためのシステムのことです。
例えばマーケティングの仕組み、商品開発の仕組み、コンサルティングの仕組み、マーケティングの仕組み、人事評価の仕組みなど、業務を標準化・システム化することに経営者の時間、労力、資金を投資します。全ての仕組みづくりを一気に行うのは難しいため、ひとつの仕組みが完成したら仕組みの運用を社員に任せていくことを繰り返すのです。
社内の仕組みを全て整えるのには時間がかかりますが、仮に運用を任せた社員が退職したとしても仕組み自体は残るため、投資は無駄になりません。こうして仕組みが出来上がれば、社長自らが現場に出なくても社員ひとりひとりが成果を出せるようになり、会社の成長につながっていくのです。
ここで間違ってはいけないのが、先に投資をするのはあくまでも「仕組み」であって「人」ではないということです。経営者が仕組みをつくる前に人を雇っても、結局はイメージ通りの動きにはならずに解決しないことが多いためです。
例えば人事制度の仕組みを整えようと考え、人事の専門家を雇ったとします。しかし急に入社した人間が、自分の思い描いた通りに仕組みをつくってくれるとは限りません。イメージや方向性の違いでその専門家が退職してしまえば、その人を雇ったこと自体が無駄になってしまうのです。
経営者の時間や労力を仕組みづくりへと投資して、仕組みが出来上がったら、それを運用できる人の育成に投資をする。そしてまた次の仕組みづくりへ投資していく、という順番が大切なのです。そしてPDCAを回しながらスパイラルアップしていけば、青年期から成熟期へと成長していけるでしょう。
中小企業の成長には段階があるので、自分の会社が今どのステージにいるのか、まずはチェックしてみてください。成長の段階によって、経営者が自分の時間・労力・資金をどこに投資すべきかが変わってくるのです。
投資をする順番は「自分」→「仕組み」→「人」です。ここを忘れないようにして、着実に成長へのステップをのぼっていきましょう。