YouTube
今回のテーマは「経営者の心を乱す、創業時の亡霊」です。先日、経営者の方から「毎月の売り上げに一喜一憂し、経営を楽しいと思えません。この状態を抜け出す方法はあるのでしょうか?」とご相談をいただきました。売り上げに気持ちを乱されてしまう経営者は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「創業時から続く不安を脱却するヒント」について、お伝えしていきます。
以前、弊社のクライアントで、一定の事業基盤を持っているにもかかわらず、売り上げが不安で仕方がないという経営者の方がいらっしゃいました。
詳しくお話を聞くと、多少売り上げが下がったからといって、すぐに会社が大ダメージを受けるような状態ではなく、むしろ優良企業といえるほどでした。客観的に見たら全く問題がないのだけれど、売り上げだけでなく社員の動向にも一喜一憂して怯えていたのです。
いったいなぜ、そんなにも怖がっていたのでしょうか?
それは創業当初の不安定だった頃、危機感を感じていた頃の「亡霊」をそのまま引きずっていたからです。「またああなったら怖い」という気持ちばかりで、とにかく売り上げの上下に条件反射してしまっている状態だったのです。
正直にいうと私も、仕事が楽しくなってきたのはここ5年ほどです。ブレインマークスを立ち上げて20年ですが、今回のテーマである「経営者の心を乱す、創業期の亡霊」との戦いにようやく勝ったのかなと感じています。
それまでは、先ほどのクライアントと同じように“売り上げが上がらなかったら会社が潰れるのではないか”“社員に給料が払えなかったらどうしよう”という不安がずっとつきまとっていました。
ここでお伝えしたいのは、数字は経営者が考えた戦略の結果でしかない、ということです。
ここまでやったら黒字、赤字でもこの期間までは持ちこたえられるなど、最悪のケースを想定した時の数字をしっかりと管理することが重要なのです。
例えば、戦略的に今は「組織づくりの時期」と決めているのなら、売り上げが下がることも予想ができます。
自分が予想していた結果になったのなら、別に騒ぐことではないし、むしろ戦略がうまくいっている証となります。
自分が理想とする未来を見据えて何を優先し、今は何をすべきか逆算して考えることが大切です。数字はあくまでも、最悪の想定をしながら戦略を1つずつやっていった結果にすぎないのです。
このように数字のとらえ方を変えてから、私はゆっくりではありますが、創業時の亡霊を克服していくことができました。今では自分の戦略がしっかり動いているかを確認する指標として、数字を楽しく見られるようになっています。
また社員の言動に対しても、「この言葉をどう活かせば10年後この会社が良くなるのか」と考えることで一喜一憂しなくなりました。
会社とは「作品づくり」です。その作品をつくるための戦略が、うまくいっているかどうかの指標が数字といえます。
「あなたが描いた戦略通りに数字が推移しているかどうか」にフォーカスして経営していけば、きっと一喜一憂することは減っていくでしょう。
皆さんが会社経営を楽しんでいると、良い社員が育ちます。社員と会社の理想の未来を共有していけば、孤独ではなくなり、さらに経営を楽しめるようになるはずです。
まずは会社の未来を思い描き、戦略を立ててみてはいかがでしょうか。
きっと、今やるべきことが見えてくるはずですよ。