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今回のテーマは「自分を過小評価しすぎる社員にできること」です。
とても優秀で成果を上げているのに、なかなか自信が持てない社員への対応についてご相談をいただきました。謙虚なのはいいけれど、自分の結果や成長をしっかり受け止めてモチベーションにつなげてほしいというお悩みです。
自信過剰なのも問題ですが、逆に自信がなさ過ぎても心配になりますよね。なぜ自分を過小評価してしまうのか、その理由と対応についてご紹介します。
今回の「できているにも拘わらず自分を正当に評価できない状態」は「インポスター症候群」と言います。自己肯定感が低かったり失敗を恐れたりするために、自分の力で何かを達成し周りから高く評価されても「自分にはそのような能力はない、評価されるに値しない」と過小評価してしまうのです。
以前、やたらと自信過剰になる「ダンニング・クルーガー現象」の事例をお話しましたが、実は問題の本質は同じ。どちらも自分を客観視できていないのです。
インポスター症候群の場合は、「自分はできていない」と強く思い込みすぎて、心の病につながる可能性もあります。放置するのは危険なので、何かしら手を打つ必要があるでしょう。
自分を客観的に評価できないことが原因であれば、やはり有効なのが人事評価制度です。感情ではなく客観的に自分を評価できれば、正しい自信をつけられるでしょう。
弊社の評価制度は「コア・バリュー」「コンピテンシー」「目標達成」の3つに分かれています。この中で、インポスター症候群の人にとって最も重要なのが「目標達成」です。
弊社の場合は上長と話し合って目標を立てているのですが、その時に大切なのは具体的な達成基準を設けること。例えば「本を5冊読む」という目標を立てた場合、5冊読了すれば誰がどう見ても目標を達成しています。ここまで明確にすれば「自分はできていません」と言いようがなくなるわけです。
「できた」という事実を客観的に認識していくことを積み重ねていけば、次第に自信もついてくるでしょう。
目標達成で自信を促すほか、長期的な取り組みとして社内の環境づくりも必要になります。なぜならインポスター症候群の人は、失敗を恐れてチャレンジにすることに消極的になっている可能性があるためです。チャレンジに失敗はつきものです。失敗を責め立てるのではなく、失敗とチャレンジのバランスを見てあげて弱さを見せられる組織風土づくりをしていきましょう。
自分ができたことは「できた」と言って、できなかったことは「できない」と言う。それによって誰かが責めることはないし「昨日の自分より今日の自分が成長できていればそれでいい」という考えが組織に根付いていけば、安心してチャレンジできるのではないでしょうか。
自信過剰な社員も自分を過小評価する社員も、元を辿れば問題は「自分を客観視できないこと」になります。これは個人の性格や育ってきた環境によるところも多いため、感情を入れてしまうと厄介です。感情を入れる余地がない具体的かつ明確な目標設定をして、正しい自信をつけてあげられるようにサポートしてあげてください。
それと同時に失敗や弱さに寛容な組織風土をつくり、社員のチャレンジを後押しできる環境を整えていきましょう。