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今回は、書籍「人生を変える80対20の法則」を、中小企業の経営に活かす方法についてご紹介します。
著者は投資家であり起業家でもある、リチャード・コッチ。現在、彼はベイン・アンド・カンパニーやボストン・コンサルティング・グループでアドバイザーを務めており、「パレートの法則(80対20の法則)」を活用して多くの企業を成功に導いています。
今回は、パレートの法則を中小企業の経営に活かすにはどのような視点が必要なのか、この書籍を基にお伝えしていきます。
世界は、80対20の法則で作られており、結果の80%の要因は20%の原因に起因するという内容です。端的に言うならば、重要な20%に意味があるので、そこに資源を注力せよということですね。
大切なのは「80対20になっている事柄」を知るのではなく、「より重要な20%に注力することで、効率化できるかもしれない」という考え方を知ることです。
その考え方がどれほど大切なことなのか、日本の生産性を例に考えてみましょう。
日本の企業は、その生産性の低さゆえに業績が上がらず、従業員の給与も上がらないままです。中小企業の経営者としては、どのように1人あたりの生産性を上げていくのかが、今後の経営の中心課題になっていくはずです。
大企業の場合は、規模を大きくすることにより生産性を上げていきますが、中小企業はそうはいきません。DX(デジタルを用いて生活やビジネスが変容すること)やIT化も大切ですが、それよりもまず考えていただきたいのが「パレートの法則」の活用なのです。
中小企業がパレートの法則を活用するためには、まず自分の会社の「分析」が必要です。この作業こそ、最も意味があるものだと私は考えています。・
重要な20%の行動は何なのかを導きだし、重要ではない80%の中から不要なものを省いて、重要な20%の行動に対して、より力を注いでいくと価値が高まる。
このように理解することが、パレートの法則を最も活用できる方法ではないでしょうか。
つまり、パレートの法則とは「最小限の投資で最大限の効果を生む方法」なのです。
では、実際にどのように会社を分析していくのか、見ていきましょう。
分析する視点は、大きく分けて3つです。
最も効果的に収益を上げ、生産性を高められる市場を探します。会社が持っている市場のうち20%の市場が80%の売り上げを上げているかもしれない、もしくは20%の力を注いでいる商品が80%の売り上げを上げているかもしれない、と分析していきます。
会社が資本を投下して、最も大きなリターンを得られる市場を選びましょう。
全体の売り上げの80%を占める、20%のロイヤルカスタマー(核となる顧客)を徹底的に探し出し、力を注ぎます。私たちが一番高い価値を提供できる顧客こそが最も大きなリターンを生み出します。
私たち経営者が時間を費やすべきは、緊急性はないけれども、重要性が高い仕事です。たとえば、会社の未来をつくるビジョンづくり、戦略づくりなどです。つまり今ではなく、3~5年後の会社を見据えた仕事ですね。
経営者がそういった仕事に力を注いでいくと、結果として80%以上の利益を生むのです。
パレートの法則を会社の分析に活用すると、物事をシンプルに考えることができます。
つまり、この法則の「どこに1番の力を注げば、最高のリターンがあるか」という視点こそが、中小企業の経営にとって重要な考え方なのです。ここでいうリターンとは、売り上げだけではありません。会社の未来、社員やお客様の満足度、収益性、数年後の会社のブランドなども含まれています。
この書籍を読み、まずは「効果的にリターンを得るにはどこに投資すべきか」を考えてみてはいかがでしょうか。
きっと重要な20%に気づき、会社経営の効率化を図るきっかけになるはずですよ。