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今回のテーマは「コア・バリューと行動基準の違い」です。
弊社の動画やブログなどでお馴染みの「コア・バリュー」ですが、結局のところ行動基準とどう違うのかというお尋ねをいただきました。
確かに、同じような意味に感じるためややこしいですよね。しかし両者には明確な違いがあるのです。
行動基準は「取るべき行動」を定めたもの。それに対しコア・バリューとは「中心的な価値観」、つまり「行動」そのものではなく「思考」にアプローチするものです。
行動基準よりもコア・バリューの方が経営に与えるインパクトが大きいと私は考えています。なぜなら、人は自分の価値観を元に行動を起こしているから。あらゆる行動の根底にあるのが価値観なのです。
例えば、ゴミを拾うという行動。ゴがミ散らかっているのを気にしないような人であっても、行動基準で「ゴミを見つけたら拾うこと」と定めたら社内では従うかもしれません。しかしゴミを拾うという行動さえしていれば良いと思い、それ以外の社内美化には見向きもしなくなることも考えられます。それでは会社が何を目的として行動基準を定めたのかが社員に伝わりません。
一方「人のために頑張る」「誰かの役に立つ行動をする」というような価値観を持っていると、ゴミ拾いだけでなく机や流し台を綺麗にするといった行動にも結び付きます。
「こうしなさい」と行動を縛るのではなく、価値観を共有することで社員が自ら取るべき行動を考え実行し、次第に社員の行動が揃っていく。これがコア・バリューの最大の効果だと思います。
私自身がコア・バリューの大切さに気が付いたのは、アメリカを訪れたときです。
海外の企業では、コア・バリューについて真剣に取り組んでいました。島国で単一民族である日本と違い、アメリカは多様な民族が暮らす国です。目の色、肌の色、宗教など、あらゆるものが違います。会社組織としてまとまるためには、価値観を合わせられる人を集める必要があるのです。だからこそ、徹底的にコア・バリューに取り組んでいるのでしょう。
弊社でも約10年前からコア・バリューにこだわってきました。そして紆余曲折ありながら、5年ほどかけてようやく浸透してきたと思います。しかし、それは簡単なことではありませんでした。各々が自由な解釈をしたり日常的に意識をすることを忘れてしまったりといったことが多発してきたのです。
コア・バリューは「正しい認識」で浸透させなければ意味がありません。ひとりひとりの認識に任せておくと、結局は立場が上の人や声の大きい人が勝ってしまうためです。弊社ではコア・バリューの解説文を作ったり、ディスカッションをしたり、目が届く場所に掲げて常に意識できるようにしたりして、認識間違いを徹底的になくす取り組みをしてきました。
時には、その価値観が合わないという人も出てくるかもしれません。しかし合わない人が弾かれていけば、コア・バリューはどんどん強固になっていきます。これが企業文化をつくる重要なプロセスになるです。
「行動」ではなく「思考」にアプローチすることで、社員の自主性を重んじながら同じ価値観を共有できる。これがコア・バリューの良さだと思います。校則のようにルールで縛り付けるのではなく、大切にしたい価値観をしっかり浸透させていけば、理想の企業文化をつくりあげられるのではないでしょうか。