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今回のテーマは「あの頃の情熱を取り戻したい社長へ」です。先日、クライアントの方から「長年の目標だった売り上げを達成してから、経営に対する熱を失ってしまいました。どうすれば創業時の情熱を取り戻せるでしょうか」と、ご相談をいただきました。創業者であれば誰もが、売り上げに向かって走り続けた経験があると思います。しかしながら、売り上げ達成後に燃え尽きてしまった人を、私は何人も見てきました。
そこで今回は、経営者が情熱を持って会社経営に取り組むために、知っておきたい「夢の種類」についてお話ししていきます。
たしかに、売り上げ目標は非常に重要です。しかし、私としては「短期的に自分を走らせるガソリンである」と考えていただけたらと思います。
きっと相談してくださった経営者の方も、創業した当初は、夢や希望に満ち溢れていたのではないでしょうか。「周りから認められるような人間になりたい」「売り上げ30億円以上にしたい」「地域で一番の圧倒的な会社をつくりたい」など、相談者の方に限らず、このような夢や希望を持って事業を立ち上げた方は少なくないと思います。
これらの夢は「パーソナルドリーム(個人的な夢)」です。このような夢を掲げて中小企業を経営していると、ほとんどの場合、失敗に終わります。なぜかというと、パーソナルドリームは「インクリメンタルドリーム(増幅する夢)」だからです。
年収1000万を目指して達成したら次は2000万、その次は3000万…。短期的に夢に向かって頑張って走るけれど、達成したらもっとすごい夢がほしくなる。このような経験をしている方は多いのではないでしょうか。
インクリメンタルドリームは短期的なエネルギーであり、自分を走らせるガソリンにはなります。しかし残念ながら、あなたを幸せにする夢ではありません。パーソナルドリームを追い求め続ける限り、満たされることはないのです。
ではあなたが、経営者として本当に幸せになるためには、どうすれば良いのでしょうか。
その答えは、「インパーソナルドリーム(誰かのための夢)を持つ」です。
インパーソナルドリームとは、「お客様に安心な暮らしを提供したい」「これまでにないサービスで社会を便利にしたい」「社会問題を解決して、誰もが豊かに暮らせる世界をつくりたい」といった、「自分以外の誰かのために描いた夢」のことをいいます。
起業の神様マイケル・E・ガーバー氏は、インパーソナルドリームこそ、経営者のエネルギーを引き出し、情熱をかき立てる夢だと提唱しています。
ではパーソナルドリームを持つことが悪いのかというと、そうではありません。
マイケル・E・ガーバー氏によると、パーソナルドリームとインパーソナルドリーム、このふたつの夢を理解して使い分けることが大切なのです。
法人(会社)は生まれただけでは価値がありません。法人は「社会に対してどのような影響を与えるか」=インパーソナルドリームによって価値が生まれます。
たとえばブレインマークスであれば、「ビジネスで人を幸せにする」という経営理念を、インパーソナルドリームとして掲げています。
誰かのために何らかの価値を提供するから、初めて存在価値が生まれる。その存在価値に対して売り上げが生まれる。その売り上げが大きくなればなるほど、私たち経営者自身が抱くパーソナルドリームも満たされていく。このようなループができていきます。
このループを理解してから、私は会社経営がとても楽になりました。
掲げた理念を実現するためのビジョンを描き、それに基づいた経営計画をつくり本気で取り組むと、結果として経営者のパーソナルドリームが叶えられる。
このループに気づくと、経営者の情熱は失われることはないでしょう。
不思議なものですが、自分のためだけに頑張っているといつか限界が来ます。しかし高い価値提供をしてお客様に喜ばれ、社員とともに学び、お客様とともに成長していくループができあがると、情熱はどんどん湧いてきます。
まずは個人的な夢ではなく、インパーソナルドリームから、会社の理念を思い描いてみてはいかがでしょうか。
きっと、経営への情熱を取り戻していけるはずですよ。