コンサルティング
中小企業の多くは、大部分の売上を社長が稼ぎ出しています。
社員を育て、社長が持つスキルを組織へ移植できなければ、会社はいつまで経っても社長に依存し続けてしまうでしょう。
そんな状態で、社長がもし病気や不慮の事故に襲われてしまったらどうなるのか。経営に多大な影響を与えることは避けがたく、最悪のシナリオとしては会社の存続自体が危ぶまれるかもしれません。
そんな中小企業のBCP(事業継続計画)では、属人化の徹底的な排除こそ最優先に取り組むべきではないでしょうか。
つまり社長自身が、「自分にしかできない仕事」を減らすための行動を起こさなければならないのです。
本質的な意思決定は社長にしかできないかもしれませんが、社長がいつまでもトップセールスとして稼働したり、現場の細々とした指揮を執り続けたりするのはやめるべきです。
ただ、現状では社長にしかできない仕事が多い状態でも、危機感を持っている経営者は少ないと思います。誰しも、明日自分が死んでしまうとは思っていないでしょう。
しかし属人化を排除するまでには長い時間がかかります。仕組みを作り、それを運用できる人材を育てなければなりません。
だからこそできるだけ早く、今この瞬間から動き出さなければいけないのです。
私自身もここ数年、属人化の排除に取り組み続けています。
ブレインマークスの課題も多くの中小企業と同じで、創業から現在に至るまで、私が成長の原動力となってきました。しかしこの先は、「私にしかできないこと」が多ければ多いほど企業としての成長を阻害してしまうでしょう。
コンサルティングも、セールスも、マーケティングも、私1人でできることには限界があります。私の属人的なスキルを組織へ移植していかなければなりません。
そのために取り組んでいるのがスキルの体系化です。
コンサルティングは非常に属人化しやすい業務ですが、私が価値提供している内容を体系化していけば、そのスキルを社員に教えることができます。
同様に私自身が感覚的に成果を上げ続けてきたセールスも、スキルを体系化してトレーニングすることで変化が生まれました。
たとえば従来は、私がセールスした際の成約率が70%、社員平均は20%でした。しかし体系化して教えたことによって、社員の平均成約率は40%まで上昇したのです。現在はこれを50%にまで引き上げるべく、トレーニングメニューをさらに進化させています。
ブレインマークスのコンサルティングの現場でも、こうした「スキルの体系化」や「トレーニングメニューの策定」に重点を置いています。
社長自身がうまく言語化できないスキルを体系化し、それを社員へインストールしやすいようにまとめていくことも、ブレインマークスのコンサルタントが持つ重要な役割なのです。
もう一つ重要なのは、社長のマインドセット。
社長の心情としては、自分自身が築いてきた強みを誇りに思い、会社を成長させる原動力となってきたことへの矜持もあるでしょう。
どれだけ社員を信頼していても、「自分にしかできないこと」を本当に伝えられるのか、不安もあるはずです。
しかし考えてみてください。社長には本来、もっとやるべきことがあるのです。
属人化を排除できていないのは会社の最大のウィークポイント。それを解決しない限り先には進めません。もっと成長していきたいと思うなら、事業継続への覚悟を持っているのなら、今すぐに動き始めるべきだと思います。
もちろん社長自身も、すぐに変われるはずはありません。私たちは日々のコンサルティングの現場で社長の思いと向き合い、変化の種を大切に育てています。
(安東邦彦)
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