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今回のテーマは「自分で考えないマネジャーをどうする?」です。先日「ある社員にマネジャーとしてチームを任せたものの、課題解決力に欠け、期待した成果が出ない」と悩む経営者から相談を受けました。社員数が10名を超えた中小企業にとって、課題になってくるのが「マネジャーの教育」です。マネジャーを育成する際はどこに注意すべきか、そのポイントについてお伝えしていきます。
経営者がマネジャーを育成する際、モチベーションを高めるために給料を上げたり「期待しているぞ」と声をかけたりしていると、よく耳にします。また目の前で仕事の手法を見せてから、実際にやらせてみるなど、皆さん試行錯誤していますがうまくいかないようです。
うまくいかない原因のひとつとして、マネジャーとの意思疎通ができていない可能性が考えられます。つまり、マネジャー自身が経営者に求められていることを理解できていない、もしくは経営者がマネジャーにうまく伝えられていないのです。
基本的に、経営者は「会社の課題を解決してほしい」という期待があり、マネジャーに仕事を任せます。しかし課題の捉え方が、経営者とマネジャー間で異なるケースは少なくありません。
課題には、大きく分けて「発生型課題」と「設定型課題」の2種類あります。発生型課題とは、すでに発生しているトラブルを解決する策を指し、設定型課題は未来を良くするための策を指します。
一般社員は「売上が落ちてきたからどうすればよいか」「チームワークの悪化をどうすればよいか」など、発生型課題に対して取り組みます。マネジャーもこれまでプレイヤーとして仕事してきた分には、発生型課題に取り組むことで十分でした。だからこそ、そのままの意識でマネジャー職とも向き合ってしまうのです。
しかし多くの経営者がマネジャーに望んでいるのは、設定型課題を解決することです。将来的にこのようなチームになってほしい、5年後に会社がここまで成長するには何をすべきかなど、今より高い水準を目標に掲げ、現状とのギャップを埋めていくことをマネジャーに求めています。
この課題に対する意識の違いが、経営者の期待外れを生んでしまう要因です。マネジャーとの意識の違いに悩んでいる経営者は、まず課題には2種類あることを認識しましょう。そして詳細を説明しないまま設定型課題の解決をマネジャーに求めていないか、振り返ってみてください。
設定型課題を解決するにはある程度の訓練が必要ですし、マネジャー自身の意識改革も必要なのです。
設定型課題の訓練には、チームのビジョンを描き、考える時間をもつことが効果的です。
マネジャーになった途端、発生型課題から設定型課題へ思考を変えるのは困難だからです。そこでブレインマークスで実施しているのは、ビジョンの制定です。
たとえばブレインマークスでは、5年後10年後のビジョンを描いています。そして、ビジョンを実現するために今どうするべきか、チームの理想的な姿とはどのようなものか考えるよう、各マネジャーに依頼します。
チームでビジョン実現について話し合えば、メンバーたちからさまざまな意見が出るでしょう。それらの意見を吟味しながら取りまとめ、ビジョンと現状のギャップを埋める方法を探るのがマネジャーの役割です。
この作業を繰り返していけば、マネジャーの意識も発生型課題から設定型課題へ少しずつ変わっていくはずです。
マネジャーの教育は、会社のビジョンを描くところから始まります。そして現状とのギャップを埋めるために、今後どうすべきかを考えてもらいましょう。
その思考がマネジャーに定着し習慣化できれば、経営者のフラストレーションも少しずつ解消できるかもしれません。是非会社のビジョンについてマネジャーと話してみてはいかがでしょうか。