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今回のテーマは「企業文化が乗っ取られる経営者の危険な行動」です。先日、ナンバー2に社内のマネジメント業務を任せていたら、いつのまにか企業文化が変わってしまったという経営者から相談を受けました。信頼できるナンバー2に業務を任せることはよくある話ですが、中小企業でナンバー2を置く際は、慎重に行なわないと大きなリスクを伴います。その理由と予防策について、お伝えしていきましょう。
経営者の下にナンバー2が一人いて、その下に組織がある構図は危険です。これは、中小企業で絶対にやってはいけないマネジメントのひとつだと言われています。なぜならば、経営者とナンバー2の間で情報の遮断が起きた場合、経営者は組織内で何が起こっているのかまったくわからなくなるからです。
大企業であれば、経営者の下に複数のリーダーが付きますので情報が入ってくるルートはいくつか確保できます。そのため、大企業の経営者は社内の変化にも比較的早く気づけるでしょう。
企業文化が乗っ取られてしまう大きな原因として、中小企業の経営者がたった一人のナンバー2を置くことにあるのです。
もちろんナンバー2にさまざまな仕事を任せるのは、決して悪いことではありません。しかし丸投げするのではなく、経営者も隅々まで関わり、社員とコミュニケーションをとって意見をまとめていくことは必要です。
マネジメント業務を任せられたナンバー2は、自分なりに良い組織をつくろうとします。そのため、丸投げしてしまうといつの間にか企業文化が変わってしまう可能性があるのです。ある程度企業文化が固まるまでは、経営者も一緒に関わることがポイントです。
もし、すでに企業文化が乗っ取られてしまったという経営者は、自分の下に複数の社員がつく組織図に変えてみましょう。また情報の遮断が起こっているのであれば、社員全員を巻き込んで会社の未来や、コア・バリューの話を末端から吸い上げてみてはいかがでしょうか。
その際「自分の言いたいことを経営者に直接言っても良いのだ」という空気がつくれると、社内の風通しも良くなり、滞っていた情報も流れてくるはずです。
私自身、中小企業にナンバー2のポジションは当分不要だと考えています。ナンバー2を置くより、経営チームをつくると考えた方が、中小企業にとって良い結果を生むのではないでしょうか。
各部門のリーダーが自分の責任分野において力を発揮し、他のリーダーたちと協力しながら経営チームとしても活動していくのが、中小企業の理想的な姿だと考えています。
経営チームの運営がうまくいけば、やがてその中のメンバーから後継者やナンバー2のポジションにふさわしい人材が決まるかもしれません。機が熟すまでは、ナンバー2を指名しない方が中小企業にとって得策なのです。
会社にとって企業文化は最大の財産です。企業文化を築くのには何年もかかりますし、それ故に簡単に真似できるものでもありません。すばらしい企業文化は、他の企業に対する「参入障壁」にもなります。あなたの会社の文化を大切に守るためにも、まずは組織の構造から見直してみてはいかがでしょうか。