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今回のテーマは「成長する組織の“スパイラルアップ視点”とは?」です。変化しようとしない、現状に甘んじて成長意欲のない社員が多く、困っているという経営者からの相談を受けることがあります。実はブレインマークスも、以前は同じような状況でした。今悩んでいる経営者にお伝えしたいのは「成長する組織にはスパイラルアップが起こっている」ということです。そもそもスパイラルアップとは何なのか、どうすれば起こせるのかについて解説していきましょう。
もし一人の社員だけが変化を拒んでいるのであれば、それは個人の問題かもしれません。しかし、複数の社員たちにそのような傾向が見られるならば、その原因は会社や組織そのものにあると考えられます。
会社や組織に原因がある場合、注目すべきはPDCAの有無です。PDCAの習慣が社内に定着していないと、継続的な変化は生まれませんし、社員たちも変化する必要性を感じられないでしょう。
スパイラルアップとは、らせん状にゆっくり成長していく過程を意味します。この状態を作り出すために、PDCAは欠かせません。
あなたの会社では、計画を立ててほったらかしになっていることはありませんか?
経営計画は、立てて終わりでは意味がありません。計画を立てたらまず社員と共有して、1ヶ月後に成果をチェック、できていない箇所は改善してまた計画を回す必要があります。このようにPDCAを回すことで初めて計画を立てた意味が生まれ、社員たちも頭を使い、考えざるを得ない状況になるのです。
まずは会社がこのような環境を意識的につくらないと、スパイラルアップを起こすのは難しいでしょう。
PDCAによって改善のトレーニングを積み重ねていくと、社員も組織も成長できます。PDCAを基にスパイラルアップを起こす仕組みを社内に定着させることは、経営者にとって重要な仕事なのです。
ここで実際にPDCAの習慣によってスパイラルアップを実現し、チームを成功へと導いた事例を紹介します。
イギリスの自転車競技は、約110年間、誰も優勝したことがありませんでした。そのような中、2003年に監督として就任したデイブ・ブレイルスフォード氏は「1%の小さな改善の集まりを戦略とする」と、提唱します。以下は、デイブ氏が実行した具体策の一部です。
・自転車のサドルを座りやすく改善
・タイヤにアルコールを塗り滑りにくくする
・さまざまなマッサージジェルを使い、疲労回復度を測定
・選手が熟睡できるように枕やマットレスを指定
・効果的な手洗いを徹底し、風邪を引かないようにする
このような小さな改善を積み重ねることで、なんと5年後には北京オリンピックの自転車レースで金メダルを獲得しました。そしてイギリスの自転車チームは、その他にも数々の世界的な大会で、輝かしい成績を残すまでに成長したのです。
イギリスの自転車チームの大躍進は、小さな改善の積み重ねが大きなスパイラルアップを生み出した成功例といえるでしょう。それは一般企業も同様で、このようなスパイラルアップを生み出している組織は、今年より来年、再来年と年を重ねるごとにどんどん成長していきます。
一方でまったく改善を重ねない組織は、次第に退化していきます。初めは両者同じスタート地点に立っていたとしても、改善習慣の有無で、数年後にはまったく違う結末を迎えることになるのです。
たとえ1%の改善でも、その習慣を社内に定着させる意識を持ってマネジメントすれば、あなたの組織はきっと成長します。わずかな改善にも真摯に取り組み、その習慣を継続すれば、やがてスパイラルアップが生まれ組織が良い方向に変化していきますよ。