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今回のテーマは「中小企業の成長はなぜ止まるのか?」についてです。
このテーマは私にとって、普遍的なテーマです。
はじめに、私自身の話をさせてください。
うちの会社は、今年で19年目になるのですが、会社が大きくなったり、小さくなったりを繰り返していた時期がありました。
「なぜ、こんなに一生懸命やっているのに、会社はうまくいかないのだろう……」
私は、こんなジレンマを繰り返し続けていました。
実は10年ぐらい前は、今より会社の規模も、業績も大きかったんです。しかし、業績が伸びていく一方で、会社の雰囲気がどんどん悪くなっていきました。
その結果、社員の離職が増えてしまいました。大きなトラブルが発生して、社員が大量退職してしまったという経験もありました。
失意のどん底で、人を雇うのも嫌だなと思っていた時、1冊の本に出会いました。
今、私の考えの支柱となっている、マイケルEガーバーさんの「はじめの一歩を踏み出そう」という本です。
この本は、私の経営に対する考え方を、全て変えました。
”なぜ多くの中小企業の、成長が止まるのか”
このテーマについて、書かれた本の内容には、私がこれまで延々と繰り返してきたことが、全て書いてありました。
もし、30名以下の中小企業の経営者であれば、ぜひ一度読んでほしい1冊です。
ガーバーさんの本を読んだ私は感動し、ガーバーさんの研修を見つけ、アメリカまで行くことを決めました。その時のガーバーさんの教えは、とても衝撃的でした。
「よくぞ日本から来たね、よっぽど経営に困っているんだね。」
アメリカに行きガーバーさんに会い、最初に言われた言葉です。そしてガーバーさんは、続けて「あなたは、テクニシャンなんだ」と言いました。
「料理ができれば、いい料理が作れると思ってる。税理士資格を持っていれば、いい税理士事務所が作れると思っている。
コンテストの常連で、カットが上手ければ、繁盛する美容室を作れると思っている。営業ができれば、営業会社ができると思っている。それがそもそも、根本的に間違っている。」
ガーバーさんがそう言った時、私は言っていることが、よくわかりませんでした。
なぜなら、僕の父親はずっと大阪で会社を経営をしていたのですが、とにかく社長として毎日必死に、頑張って働いていました。朝から晩まで働いていて、夜中の12時前に帰ってくることは、滅多にありませんでした。
つまり私は、それが経営者の姿だと思っていたのです。私も経営者として、朝から晩まで働くことは当然だと思っていたのです。
しかし、ガーバーさんは、「事業の中心的な能力があれば、会社ができると思っている。これが、ほとんどの中小企業経営失敗する原因なんだ。」と言ったのです。
事業は、あなたが頑張れば頑張るほど、うまくいかないということです。
会社が成長していくプロセスには、幼年期、開発期、成熟期の3つに分かれます。
幼年期は、社長が頑張れば業績が上がります。
開発期は、社長が頑張るだけではなくて、会社に人が増えていく。自分以外の誰かで、業績を上げていかなければなりません。
そして成熟期は、社長がいなくても成長できる状態のことです。つまり、社長が不在でも業績が伸びる会社を、真剣につくっていかなければなりません。
しかし、社長が現場で頑張って働き続けている限り、この状態を生み出すことは、難しいのです。
朝から晩まで、頑張って働いている社長は、みんな病気にかかっています。
病状1は、社長しか出来ない仕事ばかりが増加してしまう病です。
私も10年ぐらい前、この病にかかっていました。私自身は夜中までずっと働いているのに、定時になると会社には、誰もいないのです。
もちろん、自分の責任持って仕事を終えて、定時に帰ってくれることはいいことです。しかし「よし、定時になったから帰るか……。」といった社員もいたわけです。そして、結果的に、私だけ忙しい状況に陥ってしまう。
病状2は、自分とビジネスが一体化する病です。
成果をあげないと、業績は上がらない。業績が上がらないと、社員のお給料も増やせないから社長は必死になって働く。必死になって、つい声を荒げてしまったり、社員に厳しいことを言ってしまう。その結果気づいたら、社員と距離が空いてしまうのです。
病状3は、会社の基準がすべて自分になってしまう病です。
社長は自分自身が、仕事に賭けている部分があるので、それなりに仕事のレベルは高いはずです。その高いレベルを、社員に求めてしまうので、1から10まで社長が指示しないと、社員が動かないという環境ができてしまいます。
社長が頑張れば頑張るだけ陥ってしまう病です。そして、このような状態を、オーナーズトラップと言います。
職人社長を続けている限り、社長はラットレースから抜け出すことができません。ラットレースとは、ハムスターみたいに同じ場所を、ぐるぐる回っているような状態のことです。
社長であれば、そこそこ給料はあるし、自分が頑張れば、お客様にも認めてもらうことができる。これは、素晴らしいことなのだと思う瞬間も、確かにあるはずです。やり甲斐を感じる時もありますよね。
しかし、これの何が恐ろしいかと言うと、社長自身が目の前の仕事に、忙殺され続けると
この道が、未来に繋がっているのかどうかさえも、わからなくなってしまうのです。
そして、同じことを延々続ける羽目になってしまうのです。
よく、地元の居酒屋を経営しているオーナーさんに多いのが、自分で毎日仕込みして、料理の準備して、接客をして、レジを閉めていますよね。
30歳で独立した時から70歳まで、ずっと同じことを続けているのです。
実際に私にも、同じような状況がありました。コンサルをやりながら、売上を上げて、セミナーで登壇もしなくてはいけない。同じことを永遠と繰り返していて「これは一体、いつまで続くんだろう……。」と思っていた時期がありました。
しかし、ガーバーさんの話を聞いた時に思ったのです。
これは、選択肢のない経営なんだなと。働くか働かないかの、二択しかない状況だと。働きたいから働いているのではなくて、働かざるを得ないから働いている。
経営者として、すごく不幸なことだなと思ったのです。経営者の皆さんも、同じだと思うのですが、
「自分自身の力で豊かになって、幸せになりたい。自由な人生を送りたい。」
そう思って、リスクを背負って独立したはずです。しかし、いつの間にか、オーナーズトラップの状態にハマっている。
働くか、働かないかの二択になってしまっている。これでは、一番手に入れたかったはずの、自由な人生が手に入りません。
経営者がやはり、一番手に入れなくてはいけない自由とは
・自分の未来を自分で決めることができる
これが、もっとも変えがたい自由にも関わらず、働くか働かないか、明日や将来が不安な日々を送っている。
社員は言うことを聞いてくれず、フラストレーションが溜まっていく。その結果「経営者って孤独だな」と感じてしまうことは、すごく悲しいことだと思うのです。
弊社のクライアントさんも、すごく頑張っていて、真面目な社長が多いのですが、この状態から抜け出せない人が非常に多いです。
しかし、オーナーズトラップから、抜け出す方法はあります。私は、その方法をガーバーさんから教えていただき、徹底的に実践してきました。
まずは、自分がオーナーズトラップにハマっていないか、確認してみてください。
【YouTube URL 】
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=2wCnXeTvB7E&t=10s