新型コロナウィルスの流行第一波から、早いもので既に半年が経過しました。改めて振り返ってみると、たった半年のうちに社会の常識や人々の生活様式は様変わりしています。それでも人の強さは素晴らしいもので、少しずつではありますが社会全体が新しい時代へと適応しつつあるように感じています。
ただ、その中でもまだまだ苦難の中にいる中小企業は少なくありません。ウィズ・コロナの時代に、どのようにビジネスを展開していくのか。どのように組織体制を構築していくのか。
課題が山積しているのに変わりはありません。
しかし、この機会に改めて確認していただきたいことがあります。それは、今回の件で露わになった「自社の本当の課題」です。
経営を持続化しやすいよう資金を残してきたのか。
雇用を継続するための採用戦略を考えてきたのか。
ピンチのときでも団結できる組織風土を作ってきたのか。
今回のような最大のピンチは、自社や経営者が大きく成長するチャンスでもあります。そのチャンスを最大限生かせるかどうか、それは経営者にかかっています。
新型コロナウィルスの流行は、各企業が持つ強さと同時に、経営者自身の強さも露わにしました。
ピンチの中で社員を怒鳴り散らしてばかりいる人もいれば、社員を守るために頑張っている人もいます。自社の売り上げばかり考えている人もいれば、顧客と一緒にこの状況を乗り越えようともがいている人もいます。
今、社員を怒鳴り散らしながら、「うちにはろくな人材がいない」と言っているような経営者は、現状が「自分が生み出したことの結果である」ことを改めて認識してほしいと思います。
事業継続化のための方策を怠ると、中小企業にはどんなことが起きるのか。それを目の当たりにできる、分かりやすい時期が今なのです。組織の質やサービスの質、経営者の質を高めてこられなかった企業は、厳しい現実に直面しているはずです。
ウィズ・コロナと呼ばれる今、多くの経営者が考えているのは「いかにして業績をV字回復させていくか」ということでしょう。しかし私はそれ以上に、過去を振り返り、自社の経営の質を高めるための方法を考えなければならないタイミングだと思っています。
お客さんがすぐに離れていってしまった……。
社員がどんどん辞めていってしまった……。
できることなら見えないほうがよかった「不都合な真実」に直面している人もいるかもしれません。
危機にあっては、人はどうしても「自分」にベクトルが向いてしまうものです。そんなときでも顧客や仲間のことを考えられる社員を育ててこられなかったのは、残念ながら経営者の責任です。
実際に、このタイミングで辞めていく人が続出している会社もあることを承知しています。また、求職者が増加した転職市場は皮肉なことに盛り上がりを見せている現状もあります。多くの人が、自分の人生を見つめ直しているのかもしれません。
経営者も同じです。見たくなかった事実を突きつけられ、愕然としてしまうこともあるでしょう。
だからこそ、今、経営者自身が自分を見つめ直して変わるべきだと思うのです。次回以降、そのための歩み方を一緒に考えていきたいと思います。
(安東邦彦)