会社設立から7年。創業メンバーで残ったのは安東ともう1人(現在もパートナーコンサルタントである竹井)だけ。そんな状況の中、安東は徐々に「苛立ちを隠せない経営者」になっていきました。
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組織を構成するメンバーが大きく変わっても、7年目までは売上好調で、事業もどんどん伸びていきました。しかし同時に、会社の雰囲気が確実に悪くなっていくのも感じていました。
当時の安東は「社風作り」や「仕組み作り」について、一切考えていませんでした。社員が主体的に活躍するということも、「社員たちが力をつけて、自ら何とかするもの」だとしか考えていませんでした。
完全に、「俺の背中を見て成長しろ」というスタンス。社員教育にも力を入れていたつもりでしたが、今考えると「やっていたつもり」もいいところ。
常に行っていたのは、業績を上げるためのOJTと徹底した営業ロープレ、セミナー特訓。売り上げに関連したことばかりでした。
しかし、必死で教育すればするほど、社員との関係は悪くなっていくのです。
当時は中途採用しか行っていなかったため、「数カ月〜1年で戦力になってほしい」と思って迎え入れていました。「人材採用=戦力を得る」という風に考えていました。
当然、期待と現実のズレが生まれていきます。そこそこの給料を払っているのに、1年経っても2年経っても戦力にならないのはなぜなんだ……。安東の苛立ちは目に見えて社員たちに伝わっていたはずです。
もともと、自らの営業力には自信を持っていたこともあり、社員の日頃の顧客対応などを見るたびに落胆を隠しきれません。
「なんでそんなにレベルの低い対応しかできないんだよ」
「なんで言われないと、できない、やらないんだ!」
「そんなことは、営業として当たり前だろ!」
「信頼を得たければ、もっとスピード感が必要だろう!」
そんな、あからさまな態度で接していました。
もともとは「安東のようになりたい」と言って入社してきた人たち。そんな彼らが、社長からあからさまに見下したような対応をされて良い気持ちでいられるはずがありません。
社員にとって、やがて会社は「安心できる場所」ではなくなっていったのでした。