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今回は、書籍「わりきりマネジメント」を中小企業に活かす方法についてご紹介します。
著者の俣野成敏さんは、上場企業であるシチズン時計株式会社のご出身です。30歳でリストラ候補の憂き目に遭うも、一念発起してメーカー直販の在庫処分業を社内起業。逆風の中しっかりとマネジメントに取り組み、自社を年商14億円にまで育て上げました。
本書「わりきりマネジメント」には、効果的に組織の成長を促す「わりきりマネジャー」になるためのノウハウが記されています。今回は、その中でも特に中小企業の経営に役立つポイントをピックアップし、ダイジェスト形式でご紹介します。
リーダーの仕事は、「こんな未来のために、こんな仕事をしたい」という夢を描き、その夢に向かう舵取りをすることです。一方、マネジャーの仕事は、リーダーの夢を具体的な目標に落とし込み、PDCAを繰り返して現実にしていくことにあります。
そしてプレイヤーは、今まさに目の前にある現場で成果を出すのが仕事です。リーダーやマネジャーとして成果を出すためには、プレイヤーとして働く時間を減らし、未来に目を向けなければなりません。
「マネジャーやリーダーの仕事がしたくても、自分の代わりになれるプレイヤーがいない」というときは、まず自分と同レベルのプレイヤーを育てることから取り組んでみてください。自分の技術に再現性を持たせること、ヒトに依存しないシステムを作ることが、プレイヤー脱却の第一歩です。
また、リーダーとマネジャーを兼務する場合は、シーンによって二つの役割を使い分けることも大切です。役職によっても異なりますが、目安として「マネジャー8、リーダー2」程度の割合を意識するとよいでしょう。
組織の成長のためには、社員の弱みを克服するよりも強みを磨くことに注力しましょう。弱い部分を伸ばしてマイナスをゼロに近づけても「平均的な人材」が作られるに過ぎず、チーム全体の成果は伸び悩んでしまうからです。
より大きな成果を目指すなら、各々が自分の強みを活かせる仕事に集中して取り組みつつ、苦手な部分は隠さず互いにフォローし合うのが近道だといえますね。マネジャーやリーダーにも同様に、自分の弱みをオープンにして「助けてほしい」と素直に言えるような愛嬌が求められるでしょう。
ただし、最初から弱みばかりを見せていると、部下に「頼りない、だらしがない」と不信感を抱かせてしまうことも。まずは自分の強みをしっかりと示し、信頼関係を築いてから弱みを見せることを意識してみてください。
部下を管理しないとは、具体的にいえば「1から10まで指示しない」ということです。
わりきりマネジャーが示すのは、「どんな仕事を、いつまでにやるか」という期限だけ。仕事にどう取り組むかは部下本人に任せ、報告・改善のプロセスにのみ伴走すれば、自分のパフォーマンスを落とすことなく部下の成長も促せます。
もちろん、部下のキャパシティや業務の習熟度によっては、仕事を減らす、フォローを手厚くするといった工夫も求められるでしょう。大切なのは、部下を思い通りに管理しようとするのではなく、仕事への自主性や主体性を伸ばすような指導をすることなのです。
組織のうち2割は優秀、6割は普通、そして2割はあまり動かないという「2:6:2の法則」。マネジャーには、部下をこの2:6:2の法則に沿って分け、それぞれに適したマネジメントを行なう力が求められます。
まず、自ら成長する力を持つ上位2割の部下は、手出しをせずに見守ります。次に、中位6割の部下に対しては、個々のやる気や特性に応じた教育を行ないましょう。そして、下位にあたる2割の部下に関しては、「認める」ことが大切です。
下位の2割に対しては、仕事ができないからといって個人を否定したり、ましてや切り捨てたりするのではなく、「自走できるような仕事を任せる」「その人の得意分野を探して伸ばす」といったアプローチを行ないましょう。一人ひとりを活かすようなマネジメントが、組織力の底上げに繋がるということですね。
マネジャーには、効率的に素早く仕事をこなす力より、やるべき仕事を見極める力が求められます。限られた時間の中で組織が最も成果を上げる方法を考え、そのために必要な場所にピンポイントでコミットしていくのが「わりきりマネジャー」だといえますね。
経営者やマネジャーの方は、今回ご紹介したポイントをイメージしながら仕事に取り組むことで、業務に伴う物理的・精神的な負担を軽くできるのではないでしょうか。
書籍「わりきりマネジャー」には、このようなマネジャーの仕事を楽にするためのポイントが40項目に渡って示されています。ぜひご一読いただき、本書の内容をご自身の実力に変えてみてください。