コンサルティング
社員個人の不祥事によって事業やブランドのイメージが毀損されてしまうケースは後を絶ちません。
メディアで報道されるような大企業や中央省庁の例だけではなく、スタートアップやベンチャーでも、社員のプライベートにおけるトラブルがTwitterなどで晒され、炎上してしまう事例も度々起きています。
では、問題を起こしそうな人を雇いさえしなければ、こうした危険性はなくなるのでしょうか。
現実的には難しいでしょう。採用面接で1人の人間が抱える問題をすべて見抜くことなど不可能です。
別の視点で考えてみれば、問題を起こす社員が在籍する会社の経営者には「どんな文化の会社を作りたいか」という思いが欠落しているのかもしれません。
どんな事業を展開していくにしても、経営者は「誰を自分の船に乗せるのか」は明確にしておくべきです。
それは採用時点だけでなく、採用後の人材育成においても問われる観点だと思います。
どんな業界・業種の企業でも、成長していくためには人材を増やしていくことが必要不可欠でしょう。しかし、成長のためだけに誰彼構わず採用していけばいいというものではないはず。
もしかすると、社員が問題を起こして炎上した会社は、モラルがない人も自社の船に乗せてしまっていたのかもしれません。
そうであるとすれば、経営者として、会社経営を甘く見ていたと言われても仕方がないのではないでしょうか。
モラルのない人を雇い、かつ会社においてモラルについての教育もしていなかったのであれば、まさにそれが問題なのだと思います。
私自身は仕事柄、多くの経営者と接していますが、最近の若い世代の社長はしっかりとモラル向上について考えている人が多いと感じます。それでも社員の教育を徹底するのは簡単ではありません。
言うまでもなく、教育はとても大切です。業務に直結するスキルや能力に関する教育ばかりが重視されますが、私は「道徳に対する教育」こそ、企業が重視すべきことだと考えています。
人に感謝すること、礼儀を大切にすること。
社会人に対してその大切さをきちんと教えていける場所は、基本的には会社しかありません。
冒頭でも述べたように、採用面接で相手のことをすべて理解するのは不可能です。採用した人が絶対に問題を起こさないという保証はありません。10人、20人の企業ならまだしも、より大きな規模になれば、その難しさはますます高まっていくでしょう。
だからこそ企業は、入社後の道徳教育に力を入れ、道徳心の宿った人材を育てていかなければならないのです。
ブレインマークスの人材育成でも、最重要視しているのは道徳に他なりません。
(安東邦彦/第3回に続きます)