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今回のテーマは「年齢差が広すぎる組織で生まれる弊害とは」です。先日、クライアントの方から「事業拡大をしようと新卒を雇い始めましたが、教育担当の40代社員から“新卒は仕事ができない”と愚痴をよく聞きます。もう少し甘く見てあげても…と思うのですが、どのようにアプローチすれば良いでしょうか」とご相談をいただきました。
ブレインマークスでも10年前、同じような状況がありました。20歳以上の年齢差がある組織では、よく見られる光景ではないでしょうか。そこで今回は、年齢差が広すぎる組織で生まれる弊害と、その対処法についてお伝えしていきます。
現在のブレインマークスは新卒社員が増えてきましたが、最初に新卒社員を雇ったときはすごく難しいと感じていました。何が難しかったかというと、「共通の話題がないこと」です。
たとえば、私たちが誰かと話していて楽しいと思えるのは、相手と自分の間に、何かしら共通の話題があるときですよね。スポーツ・趣味・生まれ故郷など、さまざまです。
しかし、バリバリ仕事をやって会社を成長させようとしている40代と、大学を卒業したばかりで初めて仕事をする20代を考えてみましょう。
20歳以上離れた2人のあいだに、「共通の話題」は見つかるでしょうか?
この「共通点とは何なのか」について考えていかないと、組織でのジェネレーションギャップを埋めるのは難しいのです。
共通の趣味・話題があれば、年代を超えて人は仲良くなっていけます。ところがビジネスの場面になった途端、みんなそれを忘れてしまうんですよね。
会社に入ったばかりの新卒社員は、まだ社会人になりきれていません。
「親がお金を払ってくれて教育を受ける」という環境から「会社からお金をもらって自分が成果を出す」という、今までと真逆の環境に飛び込んだばかりです。
そんな新卒社員に対して、20歳以上年の離れた社員が自分の高い基準で厳しく評価しすぎると、お互いフラストレーションがたまっていくだけです。
では、いったいどのように接すればよいのでしょうか。
私が新卒社員に対して心がけているのは、できるだけ「仕事は楽しいよ」「働くことによって人から信頼されるよ」と繰り返し伝えることです。それを続けていくと新卒の社員も、少しずつ仕事になじんでいきます。なじんできて初めて、ビジネスの話以外にもプライベートの話もできるようになり、人間関係がゆっくり構築されていくのです。
私としては、仕事という共通の趣味をもった社員を育てることで、ジェネレーションギャップを埋めていくという考え方が良いのではと考えています。
新卒社員が仕事を楽しむためには、「仕事を頑張っていくと良いことがある」「成長できる」と思えるような経験が、必要不可欠といえます。
そのために、ブレインマークスでは「クライアントパートナー」という役割を設定しました。
経営者向けの研修に連れて行ったり、お客様と直接対話をしてもらうことで、自分が所属する会社がどのようにお客様に貢献しているかを知るきっかけをつくっています。
そしてもうひとつ、私が重要だと考えているのが、人事評価制度やキャリアアップ制度です。「どのような能力やスキルを身につければ、次の成長ステージに上がれるのか」が明確にわかると、モチベーションが高まり、努力が結果に結びつきやすくなります。
ただ、成長ステップをつくれば、すぐにジェネレーションギャップを埋められるというわけではありません。上の年代と下の年代をつなぐ中堅社員を雇うのも、ひとつの組織戦略といえるでしょう。
20歳以上の年齢差がある組織は、どうしても人間関係がいびつになりがちです。でもせっかく同じ会社で働くのですから、お互い気持ちよく仕事をしたいですよね。
ジェネレーションギャップを埋めるためにも、まずは仕事という共通の趣味について、楽しさを伝えてみてはいかがでしょうか。
きっと社内の雰囲気が少しずつ変わっていくはずですよ。