コンサルティング
世の中の変化に対応して大胆な事業転換を進めていくための方策として、社員のリスキリング(学び直し)の重要性が叫ばれています。
既存のビジネスモデルが行き詰まり、新規事業を模索せざるを得ない。それは大企業のみならず、多くの中小企業にも当てはまる課題ではないでしょうか。
たとえば日本経済新聞ではこんな企業が紹介されていました。
これまで電話帳の印刷を主事業としてきた創業116年の中小企業がAIなどのデジタル事業へ舵を切り、社長が率先して学び、社員には「業務時間の2割をリスキリングにあてる」といった取り組みを進めている例が紹介されています。
この事例からも伺えるように、社員が自律的に学ぶ風土を作るためには、トップが模範となりつつ、学びを後押しする仕組み作りが欠かせません。
そこで今回は、リスキリングを加速させる企業文化について考えたいと思います。
事例で紹介した企業について、どんな印象を抱くでしょうか。
「印刷事業からAI事業へ」と聞くと、その急激な変化に驚くかもしれません。もちろんその変化は一朝一夕に成し得るものではないはず。
それでも変化の実現に向けて動けているのは、経営者自身が未来をちゃんと見ている人だからでしょう。
そもそも、新しいビジネスのために必要なことをしっかりと学び、変化していくためには、それを裏付ける企業文化が必要です。
企業は社員が学び、成長していくことをきっちりと評価する。社員が成長するからこそ事業が前に進んでいく。こうした文化もまた、一朝一夕には生まれません。
社員の学びを加速させるには、まず経営者自身が学び、行動することが大切です。とはいえ、いかに社長が率先垂範しても、文化や風土は急には変わりません。
自律的に学ぶ風土を作ることは、経営者の重要な仕事の一つだと考えるべきではないでしょうか。
「うちの社員は学ぼうとしない……」。そんな愚痴が出るということは、学ぶ風土を作れていないということ。それは恥ずべきことかもしれません。
逆に「うちの社員はよく勉強するんだよ」と言えるのは、経営者としてとても誇らしいことです。その風土作りは偶然の結果ではないはずです。
では、変化に対応して学ぶことに前向きな企業風土をどのようにして作っていけばいいのでしょうか。次回のブログで掘り下げます。
(安東邦彦/第2回に続きます)