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今回は、書籍「グレートゲーム・オブ・ビジネス」から、社員の自主性を引き出すマネジメントについてご紹介します。
企業成長のノウハウが体系立ってまとめてあり、私がマイケル・E・ガーバー氏の教えを具体的に実践する上でこれほど役立った本はありません。
著者はSRC社の最高経営責任者、ジャック・スタック。
彼は「グレートゲーム・オブ・ビジネス」と命名した経営手法でオープンブック・マネジメントに取り組んだ結果、わずか8年で売上高約4倍、株価180倍という驚異的な成長を遂げました。
「利益を上げ、資産をつくる」という会社の最終目標を達成するには社員の自主性を育てる必要があるようです。
そこで今回は、社員の自主性を引き出すマネジメントについて、この本を基に解説していきます。
この本には「ビジネスを営む上で最も効率が良く最も利益が上がる究極の方法」について、次のように書かれています。
「会社のすべての人間に運営に関する発言権を与え、なおかつ業績の良い時も悪い時も、常に財務状況を公開すること」
つまりオープンブック・マネジメントが必要なのです。会社の状況や施策を打つ理由、さらには会社がどうなれば社員にどれだけの分配があるのかを明確に提示します。
では、いったいどのように社員をゲームに参加させていくのでしょうか。この本では具体的なテクニックが順序立てて紹介されています。
多くの中小企業で「収益を上げ、資産をつくる」というシンプルなゲームがうまくいかない理由は、「三つの無知」にあります。
1.経営幹部の無知
経営者は、自身が抱える問題や責任を部下が理解できるはずがないと思い込んでいます。
2.現場従業員の無知
従業員は会社の経営状況を知らないがゆえに、会社のミスを経営陣の強欲と無能のせいにしてしまいます。
3.中間管理職の無知
常に上からと下からの要求の板挟みになり、両方を喜ばせようとした結果、自分の仕事を楽しめなくなってしまいます。マネジメントの無知ともいえます。
「三つの無知」をなくしていくと、グレートゲームが完成に近づきます。
では、これを理解した上で、私たちが取り組むべきことは何なのでしょうか?
まず「社員を管理する」という考え方をやめることです。
秘密主義をやめ、社員に対しすべてを公開し、ともに課題を解決していくことが大切です。
次に勝利の味を教えましょう。
あらゆる小さな成功を祝い、「がんばったら良いことがある」と社員に実感させます。
何よりも大切なのは、「あくまでもゲームである」という感覚です。
実際にオープンブック・マネジメントを運用する上で重要なのは、次の4つのステップです。
会社の資産がどのくらいあって、その資産にはどんな意味があるのか。
さらにその資産の数値が上がっていったら会社がどのように変わっていくのかを社員に伝えていくことが大切です。
その次に「基準」を定めていきます。
たとえばブレインマークスでは労働分配率が45%~50%、マーケティング費用は全体の10%以内、採用費用は5%といったものです。
会社の財務状況の「基準」をつくることによって、「会社がうまくいっているかどうか」を社員が感覚的にわかるようになります。
最後に、会社の利益がボーナスとしてどのように社員へ分配されるのか、ルールを明確にします。
誰かに気に入られたからお金がもらえるのではなく、自分が頑張ったから報酬を得られる。これを体感した社員は、自主的に頑張るようになります。
自主的な社員を育てるためには、定期的に従業員を集めて業績の公開をするなど、全員で会社の数字に目を通すことが重要です。どうやったら目標の数字を達成できるか、社員とともにチャレンジして改善していきましょう。
それぞれの部門でリーダーやメンバーがゲームを楽しめるようになると、会社全体が成長し続けることが可能になります。
社員ひとりひとりが会社のオーナーのような気持ちで数字と現状を知り、目標数値までに足りない部分が何なのか考え、自分自身で新しい攻略法にチャレンジしながら課題をクリアしていく。
これこそがマイケル・E・ガーバー氏が提唱する「オーナーシップの文化」なのです。
今回は私にとって思い入れのある大切な本を紹介しました。この本を基に「社員自身が夢中で楽しめる会社」を少しずつつくりあげた結果、現在のブレインマークスがあります。
ぜひこの本を読んでいただき、社員の自主性を引き出すヒントを掴んでみてはいかがでしょうか。