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今回のテーマは、「裏表がある問題社員を生み出さないためにできること」です。先日、経営者の方から「私にだけいい顔をしてほかの社員にはきつく当たる社員には、どう対処したら良いでしょうか」とご相談をいただきました。人によって態度を変える社員は意外に多いものです。そこで今回は「裏表のある問題社員を生み出さないポイント」とは何なのか、お伝えしていきます。
人によって態度を変える、一部の人間にいい顔をする…これらは一種の処世術です。自分が組織の中でどう生き抜くかを考えた結果、生まれている言動といえます。しかし、これが社内で当たり前になってしまうと、皆さんが目指している企業文化とはほど遠いものになってしまいますよね。
そうならないために会社側ができる、根本的な解決方法とは何でしょうか?
最初にやるべきことは「特定の人間の顔色を見たらいいことがある」と思わせないことです。
そのためには人事評価制度を機能させ、明確な制度に基づいて体系的に評価するのだと社員に示すことが非常に重要になってくるのです。
たとえばブレインマークスでは「働く価値観」を明確にするために、人事評価制度だけでなく「11のコア・バリュー」を提示しています。これは“まずは自分から動く”“仲間を大切にする”など、弊社がどのような考え方で働いている社員を評価するのかを言語化したものです。そして360°から、つまり社内全体で評価を実施しています。
言い換えると「特定の人間からの評価」ではなく、「誰に対しても同じような態度で接すること」ができなければ評価されませんよ、という会社からのメッセージを人事評価制度やコア・バリューを通じて発信しているのです。
この見えない防御線は、会社にとって非常に重要な仕組みといえるでしょう。
人事評価制度は「人を評価する仕組み」だと思われがちですが、私自身は「教育ツール」だととらえています。何が評価されて何が評価されないのか、会社の明確な評価指標を見せることで社員を教育していくのです。
さらに評価された社員に対してより多くの給与を支払う、というのも重要な一面です。
「評価制度に則った人間が給与を多く受け取り出世をする」と伝えることで、社員に対し「人によって態度を変える人間は給与の面でも評価されない」と会社の意思表示をすることができます。
教育を通じ人として道徳的に間違っている部分を修正していくと、裏表がある問題社員も自然と変化していくでしょう。
アメリカで経営を勉強している時にマイケル・E・ガーバー氏から教わった言葉があります。
「会社とは、社員を生徒とした学校だと思え」
当時の私には全くなかった考え方で、この言葉は非常に印象に残りました。
教育することを通じて社員がより優秀になり、より道徳的になっていく。その結果、社員が会社のブランドになり、社員の成長とともに会社の業績が上がる。この良い循環をつくっていくためにも、経営者は「社員を生徒とした学校をつくる」という視点を常に持つことが大切です。
処世術として特定の人間にいい顔をする人間は定期的に、継続的に会社に入ってきます。そのたびに個別に対応するよりも、社員を教育するための人事評価制度をつくっておく方が根本的な解決に繋がっていきます。
まずは、人によって態度を変える社員を責めるのではなく、会社として教育が足りないのだという視点にシフトしてみてはいかがでしょうか。
きっと皆さんの会社が良い方向に向かっていくはずです。