コンサルティング
原材料費やエネルギー価格の高騰が続く中、多くの企業がコスト増を価格転嫁しきれずに苦しんでいます。
企業が適正価格を提示できるようになるためには何が必要なのか。前回のブログでは、より良いものをより安く、そして自分たちが儲かる仕組みで提供するべきだと書きました。
しかし、中小企業経営者の多くは疑問を感じるかもしれません。
「人件費も増える一方なのに、コストを抑えることなんてできない…」
「競合が多い中、価格勝負では消耗するだけ…」
「そもそも自社製品や自社サービスがない…」
コンサルティングの現場では、そんな声をよく耳にします。
それでも私は、仮に受託事業のみの中小企業であっても、「顧客にお得感を持ってもらいながら自社も儲かる」事業を作れるはずだと考えています。
その道筋は一つだけ。自社の提供価値を高め、そして徹底的に省力化することです。
以下で具体例を紹介しましょう。
たとえば、従業員5名で運営しているウェブ制作会社の場合。
現在は受託事業のみだとしても、ここからできることはたくさんあります。
まず見つめ直すべきなのは、自社の強みです。顧客はウェブサイトを作りたいわけではなく、その先の価値を求めています。マーケティングを強みにするのか、それともデザインを極めてブランディング能力を高めていくのか。そうして自社ならではの強みを明確にする必要があります。
結果、「ウェブマーケティングに強くなりたい」と思うなら、まずは時間をかけてでもそれを突き詰めていくべきでしょう。ウェブマーケティングによって顧客に成果をもたらすためには、どこまでやりきるべきなのかを見極めるのです。
一定の価値を提供できるようになったら、次は「どこまで省力化して同じ価値を提供できるか」を考えます。
例として、私はAIトレーナーがいるパーソナルジムに通っています。人間のトレーナーがずっと付いていればその分だけコストがかかってしまいますが、このジムではAIに任せる仕組みを作って省力化しながらも、人間のトレーナー同様の価値を提供しているわけです。
顧客にとっては、しっかりと価値を提供してもらえていれば、その裏側でサービス提供者が苦労していようと楽をしていようと関係ありませんよね。
どれだけ顧客の期待を上回るサービスを提供し、それを省力化していけるか。これこそが儲かる事業を作るための鍵なのです。
顧客のためにデザインやコピーを何十も何百も提案すれば、もちろん提供価値は高まるでしょう。しかしそれでは採算が合いません。頑張り方を間違えれば、結局は自らの価値を下げてしまうかもしれません。
ブレインマークスの例もご紹介しましょう。私たち自身も、提供価値を高め、その価値を省力化して提供することで強い事業を作ってきました。
私たちは現在、月1回・オンライン形式でのコンサルティングを20万円で提供しています。顧客からは、「安東のコンサルを20万円で受けられるのは安い」と言っていただけることもあります。
たしかに大手のコンサルティング会社に頼めば、入社数年の若手コンサルタントでも私より高い単価を取る人がたくさんいるでしょう。
もし私たちが、すべてのクライアントのもとで足を運ぶ形を取っていたら、この価格は実現できません。
しかしオンラインのコンサルティングを基本とすることで、従来は1日に1社しか対応できなかった業務を1日に3社へ展開できるようになりました。顧客にはお得感を持ってもらいつつ、私たちとしては1日あたりの単価を大幅に高められているのです。
加えて、チームでコンサルティングの価値を高めるための試行錯誤を続けています。
繰り返しになりますが、「顧客にお得感を持ってもらいながら自社も儲かる」事業を作るためには、自社の提供価値を高め、そして徹底的に省力化するしかありません。
もし今、自社のサービスで価値を提供できていると思うなら、まずは価値を提供するための体制を考えるべきです。私たちのコンサルティングも、そうした場面から始まることがほとんどです。
(安東邦彦/第3回に続きます)