経営者が抱える1on1の葛藤 | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2024.01.25

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経営者が抱える1on1の葛藤

株式会社ブレインマークス

今回のテーマは、「経営者が抱える1on1の葛藤」です。

先日、クライアントから1on1に関するご相談をいただきました。

「昨今のブームに乗って、弊社でも1on1をしてみました。しかし、社員から出てくるのはプライベートの話や、社内の人間関係についての愚痴ばかり。しまいには、給与交渉をしてくる社員までいる始末で…どっと疲れた割には手応えがなく、今後も1on1を継続するかどうか迷っています。安東さんはどう思われますか?」

初の1on1に挑戦されたとのこと、まずはお疲れさまでした。大変な思いをされたところに恐縮ですが、私としてはぜひ今後も1on1を続けていただきたいと思っています。

とはいえ、思うような手応えが感じられないまま1on1を継続するのはつらいものですよね。そこで今回は、1on1ミーティングの目的や活用方法について、私の考えをお伝えします。

■1on1の目的を決めよう

まず、1on1に取り組む際は、あらかじめ「目的」を定めておくことをおすすめします。何のために1on1を行なうのかを明らかにすれば、1on1をする側・される側ともに、手探り感や徒労感を減らせますよ。

具体的には、「社員の現状把握」と「成長支援」の2つを目的としてみてください。1on1で社員一人ひとりの心の状態や仕事への思い、得意・不得意といった現状を把握し、得た情報をその後の采配に活かすことで、その人らしい成長を支援するという感覚です。

しかし、「初回の1on1で、上長に現状を詳しく伝えてもらう」のは、社員の心情を考えるとなかなか難しいのではないでしょうか。まして経営者が相手であれば、いきなり本音を聞かせてもらえることはまずないと言っても過言ではないでしょう。

ですから、1on1の導入直後は「現状把握と成長支援の土台を作る」こと=社員に「本心を話してもいいんだ」と思ってもらえるような信頼関係を築くことが大切なのです。このような視点で考えると、初回でプライベートの話が飛び出したご相談者の方の1on1は、むしろ大成功だったとも捉えられますね。

■成長に繋げる1on1の活用方法

社員との信頼関係が育ち、1on1で現状をしっかりと把握できるようになったら、徐々に成長支援のフェーズに移行します。社員それぞれに目標を設定してもらい、1on1の際に進捗状況を確認することで、業務量や周辺環境の調整といった支援の提供に繋げていくのです。

この時に重要なのが、目標達成を急かしたり、進捗の遅れを非難したりしないこと。現状を把握し、課題がある時は共に解決方法を考え、必要な支援を提供するという伴走のスタンスを貫けば、次第に1on1を軸として成長のPDCAが回るようになっていきます。

社員一人ひとりが目標に向けてPDCAを回せるようになれば、やがては部署や組織全体の生産性も上がっていきます。社員としっかりコミュニケーションをとり、その人の成長をサポートすることが、会社の成長にも繋がるということですね。

■ネガティブな情報も、成長のヒントに

ここで、改めてご相談内容を振り返ってみましょう。実は、今回のケースにあったような「プライベートの話」や「人間関係の愚痴」「給与交渉」といった話題にも、会社の未来に役立つヒントが隠れていることが多いのです。

たとえば、社員のプライベートで起きているトラブルを知り、状況に応じて働き方の変更などの支援を提案することは、モチベーション維持や離職リスクの低減に繋がります。また、社員がお互いに不満を抱く原因を精査すれば、システム不全や業務の振り分けミス、互いの役割や責任への誤解といった改善点を発見できることも。

そして、給与交渉については「なぜそう思うのか」をよく聞き取ることが大切です。正しい自己評価ができていないのか、給与制度自体に問題があるのか…原因を見つければ、同様のトラブルが再び起こるのを防げます。

こうした話を一対一で聞くのは、経営者にとって負担の大きいことかも知れません。しかし、「得た情報をどう生かすか」に目を向ければ、ネガティブな話題も会社をより良くするためのチャンスに変えられるのです。

■本日の結論

私自身もまた、10年ほど1on1を継続しています。初めはやはり手探りでしたが、今では「経営のヒントを貰うために、これほど有益な場はほかにない」と考えるようになりました。

また、1on1は、年齢も立場も違う社員とコミュニケーションを深め、互いを理解しあえる貴重な機会でもあります。そして、経営者と社員が互いに信頼関係を深めれば、おのずと会社の組織力も高まっていくでしょう。

現状把握と成長支援を目的にして、社員の話に耳を傾けながら少しずつ信頼関係を育てていく。もどかしい思いをされることも多いかも知れませんが、ぜひ今後も1on1を継続し、会社の力に変えていただければと思います。

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