コンサルティング
前回のブログでは、「人へのコミットが足りない」社長が多いと書きました。
人材は、給与を払うだけでは会社にコミットしてくれません。社長はまず社員に給与というギブを渡し、次にやりがいある環境を整える必要があります。
つまり、「社長は2回“ギブ”しなければいけない」のです。
とはいえ社長の立場では、人へのコミットが足りないことになかなか気づけないもの。そうしたことを指摘してくれる人は社内にはいないでしょう。
多くの企業の現場を見て、多くの経営者と接してきた私は、「人へのコミットが足りない社長の特徴」を次のように見ています。
【人へのコミットが足りない社長の特徴】
・短期の損得勘定で動いている。
・社員をパートナーではなく駒だと思っている。
・人の成長スピードを見誤っている。
・人が成長したときにどれだけ大きな力になるかに気づいていない。
・愛を与えて認めれば、社員も認めてくれることに気づいていない。
いかがでしょうか。
もし自分自身に上記の傾向があると感じたら? 人へのコミットを高めていくためにはどうすればいいのでしょうか。
会社を長く経営している社長の中には、社員に愛を与えた結果、裏切られてしまった苦い記憶を持つ人も少なくないでしょう。
私自身もそんな経験があります。それでも私は、愛を与えて社員を認めることが大切だと考えています。
社長の人への向き合い方や付き合い方が変われば、従業員の向き合い方や付き合い方も変わります。
短期の損得勘定だけだと、採用後の2〜3カ月で成果が出なければ「この人材は質が低い」という発想になってしまいます。でも一度採用したのなら、短期間で成果が出なくても、長めで見守っていくべきだと思うのです。
私自身は、成果を出せるようになるまでに3年かかろうと5年かかろうと、ブレインマークスに染まろうとしている人なら支援すると決めています。
人材は長期投資。結果が出るまでに3年や5年かかるのは当然です。
その5年間を楽しく働き、良い人間関係が築ける環境をまずは作るべきなのです。
昔は、就職した若い人によく「石の上にも3年だよ」という言葉が掛けられていたものでした。
どんなに大変でも、辛くても、3年間は少なくとも耐えなさい——。今の世の中には通用しない考え方だと言われるかもしれませんね。でも社員と社長の立場をひっくり返して考えれば、社長こそ「石の上にも3年」を覚悟すべきなのではないでしょうか。
振り返れば、昔の高度経済成長期は企業に余裕があり、一度人材を受け入れたら3年でも5年でも長い目で見守ることができました。
現在では、特に中小企業ではなかなかそこまでの余裕は持てないかもしれません。しかし中小企業だからこそ、「成長するためにもがいている人材」を見守っていくべきだと思います。
高学歴ではないかもしれない。大企業で働いた経験はないかもしれない。そんな人を含めて、真に多様な人材を受け入れることができる中小企業だからこそ。
(安東邦彦)
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