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今回のテーマは、「良い人材がいないから成長しない?」です。
良い人材を採用する方法、難しいですよね。
弊社は多くの会社とお付き合いがありますが、「社長以外にもう1人優秀な人材がいたら、もっと業績が伸びるだろうな」と感じることがあります。ただどこの会社も良い人材を確保するのが難しく、人不足により社長の経営努力が報われないこともあるのが現状です。
今回は、経営者が良い人材を確保できない悩みから脱却する思考法をお伝えしていきます。
以前30代の経営者から「良い人材の採用方法を教えてほしい」と相談されました。またある時は、65歳の経営者からまったく同じことを相談されました。つまり良い人材を確保できないということは、経営者にとって永遠に続く悩みなのです。
私は世の中の統計で最も信用できるのは、人口のグラフだと思っています。グラフによると2021~2030年にかけて、生産労働人口は延々と減り続けているのです。従って採用活動はこの先ますます厳しくなるばかり。良い人材の取り合いが予想されるこれからの時代、中小企業にとって採用は深刻な経営課題となります。
まず経営者の皆さんにお伝えしたいのは、「良い人材がほしい」は、「今いる人材では物足りない」、「今の人材が会社の成長の足を引っ張っている」と同じ意味だということです。受け入れがたいかもしれませんが、今いる人材が会社の実力です。もしこれから本気で採用活動と向き合うのであれば、まずは今の会社の実力を認める勇気を持ちましょう。
人の能力は伸びるまでに1~2年、もしくは3~5年くらいはかかると考えています。一定の期間、うまくいかない現実を受け止める覚悟が経営者には必要です。10年以上前、ある社長から「ブレインマークスの電話対応、考え直したほうがいいよ」、「安東さんのファンだけど、あの電話対応されたらお客さん離れていくよ」など言われ、私はとても悔しい思いをしています。
かつて弊社では、大きな集団離職がありました。集団離職が起こる前の私だったら「お前らしっかりしろ!こんな対応ではお客様がどんどん離れていくぞ!」とスタッフに怒ったでしょう。しかし、スタッフの集団離職を経験した後、電話対応の指摘を受けた私は「これが今のブレインマークスの実力なのだ」と、素直に受け入れることを決めました。
人間は周りから注意されると悔しいので、すぐに改善を図ろうとします。ただし実力をすぐに改善することは不可能です。注意された痛みを経営者が一旦受け止めることで、会社の未来は変わります。
周りから注意されたときは、来年、再来年に同じことで注意されないようこれからどうしたらよいか、まず考えてみましょう。そして優秀な人材が不足していることを、スタッフや環境のせいにする「他責思考」を捨て、この現状は自分が作り上げたのだという「自分ごと」として問題に向き合いましょう。
経営者が会社の実力不足を受け入れる覚悟ができて、初めて次のステージに進めます。そしてスタッフにどのような教育や研修をするべきか、これからどのような仕組みを作り上げていくかを考えたところで、ようやく良い人材確保をするためのスタートラインに立てるのです。
「人材不足」、「スタッフの能力不足」を嘆くのではなく、「システム不足」だと考える思考が、良い人材確保の悩みから抜け出すための第一歩となります。
人材教育の仕組みを作り上げ、半年も研修すれば、ある程度高い水準までスタッフの能力は上がっていきます。直近の成果に一喜一憂せず、3年後、5年後の会社全体の実力アップを目指して、自分の会社を根本的にどうしたらよいのか考えましょう。それができて、初めて会社に良い人材が生まれます。この思考法を実践できれば、あなたの会社はまだまだ成長できるはずです。
まずは、「良い人材がいないから会社が成長しない」という考えを一旦捨てましょう。今いる人材が、会社の実力です。その事実を受け入れることが、良い人材を確保するための第一歩になりますよ。