コンサルティング
自分自身が大切にされているから、会社に愛着をもてる
近年、戦略人事の世界では
「エンゲージメント」という言葉がよく聞かれるようになりました。
ここで言うところのエンゲージメントにはさまざまな定義がありますが、
わかりやすく述べるなら「愛着」ということになるでしょう。
社員が、自分の勤める会社に対して愛着をもてているかどうか。
これが組織開発には重要だということです。
私自身は、さまざまな企業のコンサルティングを行なう中で、
同じ文脈で「エンパワーメント」という言葉をよく使います。
あなたは自社の社員に、会社に対してどのように感じていてほしいと思いますか?
「自分が活躍できる」
「誰かの役に立てる」
「この会社にはポジションがある」
「良い人間関係の中で働ける」
「目指している姿に近づける」
社員がそんなふうに感じられる職場なら、個人としての幸せにつながるでしょう。
そして会社に対する愛着が湧いてくるはずです。
会社に愛着をもてるのは、自分自身が大切にされているからです。
そんな職場をつくることこそが、エンゲージメント向上につながるのではないでしょうか。
そこで今回は、エンゲージメントを高める取り組みとして、
ブレインマークスが実践している4つの仕組みについてお伝えしていきます。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。
誰しも、職場で自分が活躍できれば仕事が好きになり、
会社のことも好きになっていくものです。
そんな状態をつくるために経営者がやるべきことは、
社員一人ひとりの特性を見極め、得意領域を任せていくことでしょう。
私自身も、社員の得意領域を見極めることを強く意識して会社を経営しています。
逆に苦手なのは「社員を育てていく」こと。
これはもう率直に言ってしまいますが、私は人材育成が苦手です。
人というのは、勝手に「なりたい自分」になっていくものだと思います。
「なりたい自分」の設定を経営者がうまくできればいいのですが、
結局のところその答えは、一人ひとりの社員の中にしかないのです。
そうした個々人の理想像と会社の目指す姿が一致したときに、
初めて人が育っていく。
経営者である私は、目の前の業務に必要なスキルを教えることはできます。
でも、それ以外に人が育つために何ができるだろうか?
自問自答し続けた時期がありました。
そうやって考え続けた結果、ブレインマークスとして
社員の成長を後押しする仕組みができあがっていきました。
今、私たちはこれを「人材開発システム」と呼んでいます。
このシステムは大きく分けて、4つの要素で構成されます。
・「マインドの教育」
会社の理念や将来像を共有します。
例えば甲子園を目指すチームは、「我々は甲子園を目指す」と共有しているはず。
そうしなければ強くなどなりません。
会社も同じで、存在目的の共有が必要です。
それができたら、次は「仲間を大事にする」「うそをつかない」といった、
働く上での価値観を共有していきます。
・「スキルの教育」
ビジネススキル(社会人として最低限知っておくべきこと)、
業務スキル(営業、事務などポジションごとのスキル)、
そしてマネジメントスキル(チームを束ねていくスキル)を教えます。
・「場やツールの提供」
教えられたスキルを自ら伸ばしていけるように、適切な場やツールを提供します。
個々に学びの機会を与えることもあれば、全体に対して行なうこともあります。
・「評価制度の運用」
社員一人ひとりが成長に向けて目標を立て、
経営者はそれを後押ししていくために評価制度を運用します。
私は、こうした教育や運用を実践することが、経営者の仕事であると思っています。
この4つを粛々と回していくことによって社員が成長し、
社員の成長がそのまま会社の成長やエンゲージメント向上につながっていくのです。
(安東邦彦)